10月号「相続財産の清算人」
2022.10.03
亡くなられた方に相続人が1人もいない場合や、相続人がいるかどうかわからない場合、相続人全員が相続放棄をする場合に、亡くなられた方の財産上の権利義務を承継する相続財産法人(民法951条)が成立します。
現行法では、家庭裁判所から選任された相続財産の管理人が相続財産法人を管理・清算してきましたが、職務内容に照らして、このたび「相続財産の清算人」に名称が変更されることになりました(改正民法952条第1項、令和3年4月21日成立の「民法等の一部を改正する法律」(令和5年4月1日施行予定))。
現行法では、相続人のあることが明らかでない場合における相続財産の清算手続きは、①相続財産管理人の選任の公告、②相続債権者等に対する請求の申出をすべき旨の公告、③相続人捜索の公告の後、④権利関係を確定し、⑤相続財産管理人が相続財産を清算するという流れで、①から②までの間が2か月、②から③までの間が2か月以上、③から④までの間が6か月以上と、権利確定までに少なくとも10か月かかる手続きでした。①から③の公告手続きを同時にすることができなかったので、このように長期にわたっていました。
そこで、改正法では、①相続財産管理人の選任の公告と併せて③相続人捜索の公告をすることができ、②相続債権者等に対する請求の申出をすべき旨の公告(2か月以上)、④権利関係の確定、⑤相続財産の清算という手続きができることになりました。①・③を一つの公告で同時に行うことができるとともに、併せて②の公告もできるようになったので、④の権利関係確定までに最短で6か月に短縮することが可能になります。
なお、このような手続きを経ることがないよう、相続人となる方がいらっしゃらない場合など、ご自分が亡くなった後の手続きの煩雑さを考慮して、予め遺言書や寄附等、様々な準備をされておくことをお勧めいたします。
お子さんがいらっしゃらない方も、相続人が配偶者と実父母、または配偶者と兄弟姉妹(実父母が亡くなられている場合)となるので、配偶者のためにも遺言書をご準備されておくことをお勧めいたします。
何をどのようにしたら良いか、何から手を付けたらよいか分からないと悩まれている方は、お気軽に当センターまでご相談ください。ご相談は無料です。
ワンストップ相続のルーツ
代表 伊積 研二