2月号「『令和4年度税制改正大綱』について」
2022.02.01
昨年12月10日、与党により「令和4年度税制改正大綱」が発表されました。今回の相続ニュースでは、この改正大綱のうち、相続・事業承継に係る改正案について、主な内容をご紹介します。
1.住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置等の延長・見直し
(1)適用期限の延長
直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置について、適用期限が2年延長(令和5年12月31日まで)されます。
(2)非課税限度額の引き下げ
非課税限度額が、契約の締結時期にかかわらず、①耐震・省エネ・バリアフリー住宅については1,000万円、②その他の住宅については500万円までと、改正前よりも①・②ともに引き下げられます。
(3)既存住宅用家屋についての要件変更
適用対象となる既存住宅家屋の築年数要件が廃止され、新耐震基準に適合している住宅用家屋であることが要件となります。なお、登記簿上の建築日付が昭和57年1月1日以降の家屋については、新耐震基準に適合している住宅用家屋とみなされます。
(4)適用時期
令和4年1月1日(受贈者の年齢要件の改正(18歳以上)については令和4年4月1日)以後に贈与により取得する住宅取得等資金に係る贈与税について適用されます。
2.法人版事業承継税制の特例承継計画に係る提出期限の延長
法人版事業承継税制とは、一定の要件のもとに非上場株式等に係る贈与税・相続税の納税猶予の特例を受けることができる制度です。この特例措置を受けるためには、特例承継計画 (認定経営革新等支援機構の指導及び助言を受けた特例承継会社が作成した計画であって、その特例認定承継会社の後継者、承継時までの経営見通し等が記載されたものをいう。)を令和5年3月31日までに提出する必要がありました。
今回の改正では、今般の感染症の影響により、特例承継計画の提出期限が、令和6年3月31日までと1年間延長されることになりました。なお、令和9年12月末までの適用期限についての延長は行われません。
以上が相続対策や事業承継対策に関わる改正案の概要です。
今回の税制改正大綱では、相続税と贈与税を一体的に捉えて課税するという観点からの改正、すなわち暦年贈与課税制度が事実上廃止されるかどうかが注目されていましたが、同改正案は先送りされる形になるようです。
通常、改正案大綱はおおむねそのままの内容で税制改正の基になりますが、今後も引き続き改正案の動向に注目したいと思います。
ワンストップ相続のルーツ
代表 伊積 研二