9月号「小規模宅地等の特例における特定事業用宅地等について」
2021.09.01
小規模宅地等の特例とは、被相続人等の事業(事業に準ずる不動産の貸付等を含む。)の用または居住の用に供されていた宅地等を親族が相続した場合、一定の要件のもと、その土地の課税価額の一定割合を減額することができるという特例をいいます。この特例の趣旨は、相続人の生活基盤となっている事業や居住の継続への配慮にあると言われています。
主な宅地の種類と上限面積、減額割合は以下のとおりです。
宅地等の種類/上限面積/減額割合
特定事業用宅地等/400㎡/80%
特定同族会社事業用宅地等/400㎡/80%
貸付等事業用宅地等/200㎡/50%
特定居住用宅地等/330㎡/80%
このように、小規模宅地等の特例が適用されれば、相続した土地を一定要件のもと、土地の課税価額の一定割合が減額されるので、土地の評価を下げることができ、相続税の節税につながります。例えば、被相続人が、生前に所有している土地に賃貸不動産(アパート・賃貸マンション等)を建設した場合は、小規模宅地等の特例が適用でき、相続税の節税につながります。
ここで注意すべきは、平成31年の税制改正により、特定事業用宅地等の範囲から、相続開始前3年以内に事業の用に供された土地等を除外することとされている点です。
ただし、その宅地等の上で事業の様に供されている減価償却資産の価額が、その宅地等の相続時の価額の15%以上である場合には、特定事業用宅地等の範囲に入ることとされています。これは、相続直前にアパートを建設し、事業を開始した形にして相続税の節税を目的とした駆け込み的な適用など、本来の趣旨を逸脱した適用を防止するためと言われています。
相続が開始されるまでに「3年を超えて事業的規模で貸付を行っている者」による貸付であれば、小規模宅地特例の適用対象となります(例外措置)。
事業的規模とは、アパート等の部屋数が10室以上、戸建賃貸で5棟以上(戸建住宅は1棟を2室として計算)のいずれかに該当する場合には、事業的規模として認められるものとされています。
相続税の節税対策の一つである小規模宅地等の特例を活かすためには、時間的に余裕をもって対策をしなければならないということです。
なお、当センターでは、相続税対策を含めて、円満で幸せな相続が迎えられるよう生前対策に力を入れております。まずは気軽にご相談ください。ご相談は無料です。
ワンストップ相続のルーツ
代表 伊積 研二