4月号「生命保険を活用した相続対策」
2021.04.01
相続対策は長期的な対策が有効ですが、特に相続開始前に出来る事前準備としてお金の宛先を指定できる生命保険の活用は有効な手段の内の一つといえます。
今月号は、生命保険を活用した相続対策についてご紹介します。
1.生命保険(生前贈与)を活用した納税資金準備
納税資金が高額になりそうな場合に、例えば親から子へ納税資金を準備してあげる方法として、生命保険(生前贈与)を活用した納税資金準備があります。
生前贈与により親から子へ現金を贈与し、子は贈与された現金で契約者(保険料の支払者)を子、被保険者(保険の対象者)を父、死亡保険金受取人を子とする死亡保険に加入します。これにより、親が亡くなったときにスムーズに死亡保険金を受取ることにより、納税資金を確保することができ、安心です。
なお、この契約形態の場合には、死亡保険金は一時所得の課税対象になります。
{(死亡保険金-払込保険料総額)-50万円}×1/2=一時所得の課税対象額
2.生命保険の非課税枠を活用した節税対策及び納税資金対策
多くの現金がある方は、死亡保険金の非課税枠を活用することによって、実質的に相続財産の評価額を減らすことができ、節税もすることができます。
親(被相続人)を契約者及び被保険者、子(相続人)を死亡保険金受取人に指定していた場合には、生命保険会社から支払われる死亡保険金は、税法上「みなし相続財産」として相続財産に合算されます。ただし、相続人が受け取った死亡保険金のうち「500万円×法定相続人数」までは非課税となり、死亡保険金からこの非課税金額を控除することができますので、その分節税することができます。なお、死亡保険金の非課税枠の計算上では、相続放棄をした人も法定相続人の数に含めます。
例えば、法定相続人が3人(妻・子A・子B)、死亡保険金受取人が2人(妻・子A)で、子Aが相続放棄した場合、子Aは相続放棄をした場合であっても死亡保険金を受け取ることが出来ますが、非課税の適用は受けられません。妻は、1,500万円(500万円×3人=1,500万円)まで非課税の適用を受けることが出来ます。
3.生命保険を活用した代償分割
相続財産の中で自宅などの不動産が多くの比率を占めている場合には、相続人が複数いればいるほど財産を分けづらくなります。また、不動産の場合は共有分割すると、後々の相続で相続人が多数になる可能性が高く、問題になる場合が多いのが現状です。
そこで、財産を分ける際に、相続人のうちの一人が一旦自宅を含むすべての財産を相続し、他の相続人にはそれに代わるお金(代償金)を渡すことで分割をする方法が有効です。これを「代償分割」といい、その場合、自宅を相続する相続人を死亡保険金受取人として指定しておくことで、代償分割金の交付をスムーズにすることができます。このような方法をとることで、相続人間の紛争を予防する効果が期待できます。
他にもご家族ごとに様々な活用パターンがありますが、生命保険を活用した相続対策を行うことによって「安心の先取り」をすることができます。まずはお気軽にご相談ください。
ワンストップ相続のルーツ
代表 伊積 研二