10月号「遺留分算定時における生前贈与の範囲」
2020.10.01
生前贈与は、暦年贈与など相続対策の有効な1つの方法と言えますが、相続に関しては遺留分にも留意しておく必要があります。今月の相続ニュースでは、生前贈与に関して、改正民法下での遺留分算定時における生前贈与の範囲についてご紹介します。
遺留分とは、被相続人が遺贈や生前贈与により、特定の者に財産を遺した場合であっても、兄弟姉妹以外の一定の相続人には、最低限度の生活を保障するため等の理由により、最低限相続できる財産のことを言います。
この遺留分を計算する際は、一定の生前贈与財産を含めて計算を行います。算定の基礎となる財産の考え方については、
改正前は、「被相続人の遺産+(相続人以外への相続開始前1年以内の生前贈与財産(※1)+相続人に対する生計の資本等(※2)として贈与したすべての期間の財産)-債務」でしたが、
改正により次のように変更されました。
改正後は、「被相続人の遺産+(相続人以外への相続開始前1年以内の生前贈与財産(※1)+相続人に対する生計の資本等(※2)として贈与した相続開始前10年以内の財産)-債務」
(※1)ただし、当事者双方が遺留分権利者に損害を与えることを知って行った贈与については、期間制限はありません。
(※2)生計の資本としての贈与として特別受益が認定される例として、居住用不動産の贈与、居住用不動産取得のための金銭の贈与、営業資金の贈与、高額な送金や生命保険などがこれに当たるとされています。
このように、改正により遺留分の算定基礎財産の計算に含める生前贈与の範囲が、これまでより狭くなりました。
なお、施行日以前に開始した相続については適用されません。
遺産分割において、相続人間で生前に贈与を受けた人とそうでない人との不公平感から、相続トラブルにつながることも多いのが現状です。生前贈与を活用する際には、相続人間のバランスなども考慮した上で、計画的に行われた方が良いでしょう。
何をどのようにすれば円満な相続を迎えられるかお悩みの方は、ぜひ当センターまで気軽ご相談ください。相談は無料です。
ワンストップ相続のルーツ
代表 伊積 研二