8月号「相続登記の義務化」
2021.08.02
相続登記とは、亡くなった方が所有する不動産を相続した際に、相続人名義に変更する登記手続きのことをいいます。しかし、この相続登記はこれまで義務ではなかったため、遺産分割をしないまま相続が繰り返されるなかで土地の共有者が増加し、相続登記手続き自体を先送りしているケースが多くありました。
そのため、不動産登記簿により所有者が直ちに判明しない、または判明しても所在不明で連絡がつかないという「所有者不明土地」の問題が生じていました。しかも、所有者不明土地のうち、最後の登記から50年以上経過している土地の割合が大都市では約6.6%、中小都市・中山間地域では約26.6%(平成29年法務省調査より)あり、不動産登記簿のみでは所有者の所在が確認できない土地の割合が約20.1%と、国にとっても所有者の捜索に莫大な時間と費用がかかることから、所有者不明土地の問題は深刻視されていました。
そこで、この問題に関し、今年4月21日「所有者不明土地問題」の解消を目指す関連法案が国会で成立しました。注目すべきは、所有者不明の土地の発生を予防する方策として、「不動産登記制度の見直し」と「相続土地国庫帰属制度」が創設されたことが挙げられます。
まず、「不動産登記制度の見直し」として「相続登記の申請が義務化」されます。この制度が施行されると、不動産を取得した相続人に対し、その取得を知った日から3年以内に相続登記手続きが義務化されます。また、施行前に発生した相続登記も対象になります。そして、この手続きを正当な理由なく怠った場合には、10万円以下の過料を科すとされています。
なお、この制度は、2021年4月28日から3年以内に施行される予定です。
次に、「相続土地国庫帰属制度」の創設が挙げられます。これは、相続で土地を取得したが利用価値が低い等の理由により相続人が望まない土地の放棄を一定の条件で認め、国庫へ帰属させる制度です。条件としては、相続した土地に、①建物が無い、抵当権などの担保権が設定されていない等、②申請者が10年分の管理費用相当額を負担することです。ただし、共有地の場合には、共有者全員での申請が必要です。
なお、この制度は2021年4月28日から2年以内に施行されます。
これらの制度の詳細については、法務省のホームページを参照ください。
このように、相続登記の義務化が迫っています。今一度ご家族やご自身が所有されている不動産の名義を確認し、家族に引き継いでもらいたいのか、現金化なども含めて売却をしておくのか等の確認されておくことが大切です。特に共有の土地の場合は、話し合うべき相続人の人数が多い場合があるので注意が必要です。
そして、将来に備えるためにも、きちんと問題を整理し、遺言書で誰にどの土地を継がせるのかを指定しておくことで、相続登記をスムーズにできますし、前述の問題も無くすことが出来ると思います。
なお、当センターでは、遺言書作成を含めてご家族の幸せを実現するためのお手伝いをさせていただいております。まずは気軽にご相談ください。ご相談は無料です。
ワンストップ相続のルーツ
代表 伊積 研二