相続ニュース

このコーナーでは、相続に関する情報をお届けします(毎月1日更新)

6月号「老後に備える」

2022.06.01ニュース

老後のことについて、どれくらいの方が具体的に対策されているでしょうか。実際には、「老後に備えなければ」と思いつつも、「老後はまだ先のことと思いたい」という気持ちの方が勝る方も多いのではないでしょうか。これは遺言を準備したいと思いながらも先送りする方の思考に共通します。

実は、老後に備えることは、現役世代の生活設計課題として、子どもの教育や住宅取得と並ぶ重要な課題の一つと言われています。いずれの課題も長期の計画、長期の資金計画・管理が必要です。つまり、老後に備えることは、長期にわたって、現役(=心身共に元気)のうちに、しっかりと対策して取り組まなければならない重要な課題なのです。

現役世代のうちに老後に備えておきましょう、という課題については、主に老後資金といった経済的な課題と日常生活を安心して送れるように備えるという健康寿命や介護の問題に備えるという課題が挙げられます。前者がお金の面がきちんとしていること、後者は最後まで人間の尊厳を保って生きることが出来ること、と表現できるのではないでしょうか。

老後のお金の面については、さらに、①介護になった場合のお金のリスクと、②長生きした場合のお金のリスクが検討事項として挙げられます。①については、在宅介護と施設介護とで毎月かかるお金の額が変わってきますので、自分がどのような介護を望むのか、介護をしてくれる家族がいるのかどうかによっても変わってきます。②については、具体的には生活費のリスクです。年金で生活していけるかどうか、私的年金を準備しておくのか、預貯金を取り崩すのか、生活費などのシミュレーションをしてみることをお勧めします。

健康寿命や介護の問題については、上述した老後のお金の問題にも関わってきますが、具体的には認知症や寝たきりリスクなどの健康リスクが検討事項として挙げられます。年齢を重ねると病気のリスクも高まりますし、現在の健康状態によっても左右されますので、こちらも個々人で対策が異なってきます。

いずれの課題を検討するにも、現役世代のうちから早めに自分の老後について想定されるリスクを洗い出し、リスク対策しておくことが重要です。高齢期になると、判断能力が衰えて、認知症になるリスクが高まるからです。そうなると、預貯金が取り崩せず、自分のために自由にお金を使えなくなるというリスクも高まります。また、高齢期の方を狙った特殊詐欺など、外的なリスクも高まります。現役世代を過ぎた方でも、判断能力がしっかりしているうちに、早めの対策をされることをお勧めします。

何から始めたら良いのか、これからの老後や相続について検討されたいと思われる方は、ご相談ください。ご相談は無料です。

ワンストップ相続のルーツ

代表 伊積 研二

5月号「事業承継を考える」

2022.05.02ニュース

現在、我が国では経営者の高齢化が急速に進んでおり、経営者がそろそろ事業承継をしたいと考えても、親族内に後継者がおらず、後継者不在を理由に廃業を選択する企業が増加しています。中小企業の休廃業及び解散件数は近年約5万件あると言われていますが、中でも60歳以上の経営者の件数が増加傾向にあります。

かつては、親族内承継が9割以上を占めていましたが、近年は約55%と親族内承継はかなり減少しています。代わりに、親族外承継(役員・従業員承継や第三者承継(M&A))は約3割を超えており、こちらは増加傾向にあります。

この状況を改善しなければ、日本経済に大きな悪影響を及ぼすため、政府も事業承継に関する税制改正や事業承継支援など様々な方策を進めています。

そこで、今月号では、事業承継について考えていきたいと思います。

. 誰に承継するのか

親族内承継では、現経営者の子や子の配偶者、兄弟姉妹、孫などになります。

. 何を承継するのか

そもそも事業承継では、誰に何を承継するでしょうか。その答えは、現経営者から後継者に「人」「資産」「知的資産」の3つを承継するということです。

①人の承継

人の承継とは、後継者が、先代経営者から役員や従業員を承継することです。

②資産の承継

資産の承継とは、自社株式や事業用資産(不動産・設備)、資金(運転資金)、経営者保証などを承継することです。

知的資産の承継

知的資産の承継とは、経営理念や会社の信用、人材・特許・ブランド・ノウハウ・技術、顧客情報、人脈、許可・認可・認証などの経営資源を承継することです。

. 事業承継の方法

先ほども少し触れましたが、事業承継の方法には3つの方法があります。

①親族内承継

親族内承継は、一般的に社内外の関係者から心情的に受け入れられやすい傾向があります。また、後継者を早期に決定できることから、5年から10年かかると言われる後継者の育成に必要な期間を確保することができます。

②役員・従業員承継

役員・従業員承継は、業務に精通しているため、他の役員・従業員や取引先などの理解を得やすく、親族内に後継者として適任者がいない場合でも、後継者を確保しやすいといったメリットがある一方、会社の株式を取得する際、資金面の課題もあります。

 ③第三者承継

第三者承継は、親族内にも従業員にも後継者候補がいない場合、外部から幅広く買い手を募り、第三者へ株式の譲渡や事業の全部譲渡という形で事業承継を行う「M&A」という方法があります。

「M&A」(Mergers and acquisitions)とは、狭義の意味では、2つ以上の企業を統合したり(合併)、ある企業が他の企業を買収して会社の支配権(経営権)を得ることをいいます。なお、広義の意味では、提携まで含めることもあります。

具体的な方法はケースに応じて様々ですが、買収という形が多いです。

M&Aの売り手側としては、事業承継問題の解決や、事業存続により従業員の雇用が守られる、まとまった資金を調達できるというメリットが挙げられます。

他方、最適な買い手をみつけることがなかなかできない場合や、M&A成約後に従業員とのトラブルが生じる場合もあるというデメリットが挙げられます。

事業承継の在り方も時代とともに変化しています。事業承継対策は時間がかかるため、早期の取り組みが重要です。早めに取り組めば取り組むほど、様々な対策を検討する時間ができ、精神的にも余裕が生まれます。

ぜひ、経営者の方は、ご自身の相続対策と併せて事業承継対策を早めに取り組まれるようお勧めいたします

弊社は、相続対策及び事業承継対策のコンサルティングを通じ、皆様が幸せな老後生活と幸せな相続を迎えられますよう、これまで多くの方のお手伝いをさせていただいております。

何からはじめたら良いのかわからない、どのような対策があるのかわからないという方は、お気軽にご相談ください。

ワンストップ相続のルーツ

代表 伊積 研二

4月号「特に遺言が必要な場合」

2022.04.01ニュース

遺言は、自分の死後、ご家族がスムーズに相続手続きを行う上でとても大事です。遺言には、財産や債務をどのように分けるかだけではなく、どのような思いで分けたのか、これまでのご家族への感謝の気持ちやこれからどのように過ごして欲しいのかなど、ご自身の思いも一緒に残すことができます。ご家族への最後の愛情の形と言っても過言ではありません。

残された家族への愛情という点では、民法のルールでは十分に保護されていない内縁の妻や夫の場合や、お子さんがいらっしゃらない方は特に注意が必要です。

また、お子さんがいらっしゃっても、親子関係が心理的・物理的に疎遠な場合や、お子さんがお仕事をされていて遠方にいらっしゃる場合、財産が少なく分けづらい場合、個人事業主の場合なども、注意が必要です。

さらに、相続人、特にお子さんが遠方にいらっしゃる場合には、相続手続きを実施するのが大変です。お子さんそれぞれにも生活があり、仕事・家事・育児・介護などそれぞれの役割があります。それに加えて、煩雑な相続手続きが加わるとすれば、時間的・精神的にも大変厄介です。その負担を軽減してあげる方法として、相続専門家にサポートをお願いしておく、遺言執行者をお願いしておくのも、1つの配慮・思いやりだと思います。

次の場合に当たる方は、遺言書を作成しましょう。

〈遺言が特に必要な場合〉

①子どもがいない場合(特に親がいない場合は兄弟姉妹に相続権が発生するので注意)

②内縁の妻がいる場合(民法上の配偶者として保護されないので注意)

③相続人がいない場合(特別縁故者もいない場合、国庫帰属等になるので注意)

④家族関係が複雑な場合(疎遠・絶縁などは遺産分割協議が難航するので注意)

⑤財産が少ない場合(不動産が多くを占める場合は分けづらいので注意)

⑥個人事業主の場合(事業の財産を複数の相続人に分けてしまうと事業継続困難になるおそれがあるので、特定の人に承継させたい場合には承継先・方法に注意)

⑦相続人、特にお子さんが遠方にいる場合(遺言執行者の指定を専門家に指定しておくなどの配慮が必要)

なお、遺言の形式的・内容的確実性を確保しておくためにも、当センターとしては、公正証書遺言をお勧めしております。

何から始めたら良いのか、これからのライフプランや節税対策も併せて遺言内容を検討されたいと思われる方は、お気軽にご相談ください。ご相談は無料です。

ワンストップ相続のルーツ

代表 伊積 研二

3月号「整理整頓と生前対策」

2022.03.01ニュース

年度末になりました。

仕事の関係での移動や引っ越し、進学などさまざまな場面で新たなステージを迎える準備をされている方も多いのではないでしょうか。そして、新たなステージへ向けて、モノの片付けに取り組まれている方もいらっしゃるのではないかと思います。

一般的に、モノを片付けるステップとして、

①自分にとって生きていく上で何が必要なのか把握する

②要らないモノを処分する

③使いたいモノの置場・収納方法を決める

そして、出して使う・戻すことを繰り返すことがポイントだといわれています。

この繰り返しの実践が整理整頓されている状態を維持するコツだそうです。

モノを片付ける整理整頓と、生前対策は似ていると思います。

生前対策も、大まかには、

❶財産、人間関係など自分にとって必要なものや大切な関係性は何かを把握する

❷❶で残されたものや関係性を大切にする(それ以外は場合によっては手放す)

❸どのような状態がベストか検討し、決める

という手順をとり、一旦検討しただけではなく、繰り返し検討し実践することがポイントだと思います。

具体的な生前対策としては人それぞれですが、例えば、一般的に次のような手順で対策を行います。

❶自分の預貯金や有価証券、不動産などの財産と借入金などの債務を把握する

❷❶が配偶者や子どもなどの相続人に残したいものであるかどうか検討する、場合によっては売却してお金にしておく

❸相続人のうち誰に何を残すかを決めておく

❹遺言の種類や遺言内容を検討する(お勧めするのは公正証書遺言)

❺❹を実現するために遺言書を作成する

生前対策は、一度取り組んだ内容が全てではなく、環境の変化に応じて再検討することが必要です。

生前対策は「人生の整理整頓」と捉え、まずは気軽な気持ちで対策に取り組まれてみてはいかがでしょうか。

弊社は、特に生前の相続対策や事業承継対策のコンサルティングを通じ、皆様が幸せな老後生活と幸せな相続を迎えられますようお手伝いをさせていただいております。

対策をするにあたっては、時間があればあるほど有利です。つまり、早く取り組んだ方が得だということです。

何をどうすればよいか分からない方は、どうぞ遠慮なくご相談ください。

ワンストップ相続のルーツ

代表 伊積 研二

2月号「『令和4年度税制改正大綱』について」

2022.02.01ニュース

昨年12月10日、与党により「令和4年度税制改正大綱」が発表されました。今回の相続ニュースでは、この改正大綱のうち、相続・事業承継に係る改正案について、主な内容をご紹介します。

1.住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置等の延長・見直し

(1)適用期限の延長

 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置について、適用期限が2年延長(令和5年12月31日まで)されます。

(2)非課税限度額の引き下げ

 非課税限度額が、契約の締結時期にかかわらず、①耐震・省エネ・バリアフリー住宅については1,000万円、②その他の住宅については500万円までと、改正前よりも①・②ともに引き下げられます。

(3)既存住宅用家屋についての要件変更

 適用対象となる既存住宅家屋の築年数要件が廃止され、新耐震基準に適合している住宅用家屋であることが要件となります。なお、登記簿上の建築日付が昭和57年1月1日以降の家屋については、新耐震基準に適合している住宅用家屋とみなされます。

(4)適用時期

 令和4年1月1日(受贈者の年齢要件の改正(18歳以上)については令和4年4月1日)以後に贈与により取得する住宅取得等資金に係る贈与税について適用されます。

2.法人版事業承継税制の特例承継計画に係る提出期限の延長

 法人版事業承継税制とは、一定の要件のもとに非上場株式等に係る贈与税・相続税の納税猶予の特例を受けることができる制度です。この特例措置を受けるためには、特例承継計画 (認定経営革新等支援機構の指導及び助言を受けた特例承継会社が作成した計画であって、その特例認定承継会社の後継者、承継時までの経営見通し等が記載されたものをいう。)を令和5年3月31日までに提出する必要がありました。

 今回の改正では、今般の感染症の影響により、特例承継計画の提出期限が、令和6年3月31日までと1年間延長されることになりました。なお、令和9年12月末までの適用期限についての延長は行われません。

以上が相続対策や事業承継対策に関わる改正案の概要です。

今回の税制改正大綱では、相続税と贈与税を一体的に捉えて課税するという観点からの改正、すなわち暦年贈与課税制度が事実上廃止されるかどうかが注目されていましたが、同改正案は先送りされる形になるようです。

通常、改正案大綱はおおむねそのままの内容で税制改正の基になりますが、今後も引き続き改正案の動向に注目したいと思います。

ワンストップ相続のルーツ

代表 伊積 研二

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