相続ニュース

このコーナーでは、相続に関する情報をお届けします(毎月1日更新)

2月号「『令和6年度税制改正大綱』について」

2024.02.01ニュース

昨年12月14日、「令和6年度税制改正大綱」が決定しました。このうち、今回の相続ニュースでは、資産課税についてご紹介致します。

1.事業承継税制、特例承継計画等の提出期限の延長

 非上場株式等に係る相続税・贈与税の納税猶予の特例制度及び個人の事業用資産に係る相続税・贈与税の納税猶予制度について、コロナの影響や物価高騰等の急激な経営環境の変化により事業承継の検討が遅れている状況を踏まえ、特例承継計画及び個人事業承継計画の提出期限が延長されます。

 なお、法人版事業承継税制の特例措置(2027(令和9)年12月31日まで)、及び個人版事業承継税制(2028(令和10)年12月31日)の適用期限については、今後とも延長は行われないようです。したがって、事業承継を検討している中小企業経営者及び個人事業者の方々は、適用期限が到来することを見据え、早期に事業承継に取り組まれることが望ましいといえます。

2.住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置の延長等

直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置について、適用期限が2026(令和8)年12月31日まで延長されます。

また、省エネ等住宅の家屋の要件が、改正前は「断熱等性能等級4以上又は一次エネルギー消費量等級4以上であること」が、改正案では「断熱等性能等級5以上又は一次エネルギー消費量等級6以上であること」が要求され、より性能が高い家屋であることが要件として求められます。

3.土地に係る固定資産税の負担調整措置及び条例減額制度の延長

2024(令和6)年度は、3年に一度の固定資産税評価額の評価替えの年にあたります。税負担の公平性の観点から、現行の①負担調整措置、②条例減額制度、③下落修正措置について、2026(令和8)年度まで延長します。

以上が相続対策や事業承継対策に関わる改正案の概要です。

通常、改正案大綱はおおむねそのままの内容で税制改正の基になりますが、今後も引き続き改正案の動向に注目したいと思います。

なお、本年1月1日から、生前贈与加算(相続ニュース2023年9月号)相続時精算課税制度の見直し(相続ニュース2023年12月号参照)が実施されております。

相続対策・事業対策は、いずれも早めに取り組まれた方が得策といえます。まずはお気軽にご相談ください。

ワンストップ相続のルーツ

代表 伊積 研二

2024年1月号「年頭のご挨拶」

2024.01.01ニュース

謹んで初春のお慶びを申し上げます

旧年中はご愛顧を賜り厚く御礼申し上げます
おかげさまで弊社は本年5月に設立18周年を迎えます
今後も皆様のご期待に応えられるよう努めてまいります
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます
皆様のご健康とご繁栄を心からお祈り致します
 令和6年 元旦

辰年は龍のように運勢が昇りやすく
開運に導かれやすい年と言われています
本年が皆様にとって幸運な年となりますよう
お祈り申し上げます

             ワンストップ相続のルーツ
                 代表 伊積 研二

12月号「相続時精算課税制度」

2023.12.01ニュース

今年も残すところあと1か月になりました。暦年贈与を今年中にしたいと検討されている方もいらっしゃると思います。贈与には、暦年贈与と、相続税と贈与税の一体化措置として相続時精算課税制度がありますが、今回の相続ニュースでは「相続時精算課税制度」の概要や活用方法、留意点について改めてご紹介したいと思います。

相続時精算課税の制度とは、原則として60歳以上の父母または祖父母などから、18歳以上の子または孫などに対し、財産を贈与した場合において選択できる贈与税の制度です。この制度を選択する場合には、贈与を受けた年の翌年の2月1日から3月15日の間に一定の書類を添付した贈与税の申告書を提出する必要があります。

なお、この制度を選択すると、その選択に係る贈与者(「特定贈与者」といいます。)から贈与を受ける財産については、その選択をした年分以降すべてこの制度が適用され、「暦年課税」へ変更することはできません

また、特定贈与者である父母または祖父母などが亡くなった時の相続税の計算上、相続財産の価額にこの制度を適用した贈与財産の価額(贈与時の時価)を加算して相続税額を計算します。【国税庁ホームページ抜粋No.4103 相続時精算課税の選択】

相続時精算課税制度は、受贈者が贈与者ごとに選択することができます。そして、前述のとおり、一旦この制度を選択すると、生前贈与について、贈与時に贈与財産に対する贈与税(特別控除額2,500万円を超える額に対して一律20%)を支払い、その後の贈与者の相続時にその贈与財産と相続財産とを合計した価額をもとに計算した相続税額から、すでに支払った贈与税額を控除することにより贈与税、相続税を通じて納税することになります。

留意点としては、主に次の2点です。まず、一旦選択すると暦年贈与へ変更することができず、①継続適用が条件である点に注意が必要です。また、相続時に相続財産に加算される贈与財産は、贈与時の時価で合算されるため、贈与後の贈与財産の時価の上昇または下落によって相続時の相続税で、②贈与財産の価格変動による得失がある点にも注意が必要です。したがって、②に関しては、今後価格が上昇する見込みがある財産をこの制度を利用して財産を移転すると良いとされています。

2023年度税制改正(弊社相続ニュース2023年2月号参照)にて、相続時精算課税制度が見直される点について再度ご紹介いたします。

贈与税の計算については、

{贈与税の課税価格-基礎控除額110万円-特別控除額2,500万円(累積)}×20%

となり、特別控除とは別に毎年110万円の基礎控除を受けることができるようになります。

相続税の計算については、すべての相続時精算課税適用贈与財産を相続財産に合算して相続税を計算します。また、相続財産と合算する贈与財産の価額は、贈与時の価額(相続税評価額)によります。ただし、土地や建物が災害により一定以上の被害を受けた場合には、その贈与における価額から災害によって被害を受けた部分に相当する額を控除した残額とされます。この改正は来年2024年1月1日以後の贈与から適用され、災害による被害を受ける場合についても同様です。

相続時精算課税制度を利用してみたいとお考えの方は、税理士にご相談ください。

ワンストップ相続のルーツ

代表 伊積 研二

11月号「相続放棄について」

2023.11.01ニュース

最高裁の司法統計によると、令和(2021年)の相続放棄申述事件の新受件数は、25万1993件とされており、年々増加傾向にあります。

相続放棄とは、被相続人の権利及び義務を一切承継しないという選択方法をいいます。一般的に、相続放棄は、被相続人のマイナスの財産(借金や連帯保証などの債務)がプラスの財産(土地建物などの不動産や預貯金など)よりも多い場合に、債務の承継を回避するために相続人が選択されることが多いです。相続放棄の手続きは、原則として、自己のために相続の開始があった時から3か月以内に、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所にその旨を申述しなければなりません。

相続放棄は、前述のとおりマイナスの財産がプラスの財産よりも多い場合のほか、被相続人が遺言を作成しておらず遺産分割協議に参加したくない場合や、相続人が多くの生前贈与を受けていた場合、遺留分侵害請求を受けたくない場合などにも選択される人もいます。

なお、「この財産は相続したいけれど、あの財産は相続したくないので放棄したい」と言う方がいらっしゃいますが、不要なものだけを手放すことはできず、相続放棄はすべての相続財産を相続しないという選択ですので、相続放棄をする場合は相続する財産を選択することはできません。つまり、相続放棄をした人は、民法上、はじめから相続人でなかったものとして扱われるため、相続による財産の取得が一切できなくなるのです。

ただし、相続放棄をした場合であっても、被相続人が保険料の負担者かつ被保険者である保険契約による死亡保険金は、相続財産ではなく受取人固有の財産となるため、相続放棄をした場合でも受け取ることができます。また、遺族年金や未支給年金についても、相続財産ではなく被相続人の遺族の一定の要件に該当する人の固有の権利なので、相続放棄をした人も受給することができます。

相続放棄の主な留意点としては、①死亡保険金の非課税制度②債務控除③単純行為とみなされる行為が挙げられます。

①死亡保険金の非課税制度とは、相続人が受け取った死亡保険金は、税法上、「500万円×法定相続人の数」という非課税限度額まで相続税が課されません。この「法定相続人の数」には、相続を放棄した者も含まれます。ただし、相続放棄した者には、受け取った死亡保険金には非課税の適用はありませんので注意が必要です。

②債務控除とは、相続税の計算上、相続人や包括遺贈者は相続財産から被相続人の債務を控除することができますが、相続放棄をした者は控除することができません。

③単純行為とみなされる行為をした場合、相続放棄が認められなくなる場合があります(例えば、被相続人の不動産を売却するなど)ので、相続放棄を検討されている方は注意が必要です。

もし相続人になったらどうするかということについて、相続放棄は債務免除だけではない制度であることや相続放棄の留意点を頭の片隅に入れていただいて選択していただきたいと思います。

ワンストップ相続のルーツ

代表 伊積 研二

10月号「認知症に備える」

2023.10.02ニュース

超高齢化社会の到来とともに、認知症患者の数も年々増加しています。日本における65歳以上の認知症患者数は、2020年に約602万人、2025年には約675万人と、65歳以上の5.4人に1人が認知症患者になると予測されています(【出典:「日本における認知症の高齢者人口の将来推計に関する研究」,2015年3月,二宮利治】)。

よく「近頃もの忘れがひどくて」「認知症かな?」という会話を耳にします。しかし、認知症は、単なる加齢によるもの忘れではなく、様々な原因により脳細胞が死んでしまう又は働きが悪くなり、記憶・判断力などの障害が起き、日常生活に支障をきたす病的状態をいいます。認知症を引き起こす病気のうち、もっとも多いのがアルツハイマー型の認知症です。

脳の細胞が壊れることによって直接起こる症状が記憶障害、見当識障害、理解・判断力の低下、実行機能の低下など中核症状と呼ばれています。例えば、探し物などをしていて誰かが盗ったなどと他人のせいにしたりすることがあったり、しまい忘れや置き忘れが増えていつも探し物をしているなどの具体的症状が挙げられます。

認知症は、加齢、遺伝性のもの、高血圧、糖尿病などの生活習慣病、喫煙、頭部外傷、難聴などが危険因子とされていますが、運動や食事、余暇活動、社会的参加、認知訓練、活発な精神活動等が防御因子とされています。特に、認知症の発症予防については、運動、口腔に係る機能の向上、栄養改善、社会交流、趣味活動などの日常生活における取り組みが、認知機能低下の予防につながる可能性が高いとされています。したがって、認知症を日頃から予防するためには、食生活などの生活習慣を改善して高血圧や糖尿病になるリスクを低減させたり、地域での活動や健康体操などの活動などに積極的に参加したりすることも有効な方法の一つだと思います。

判断能力の低下に伴うリスクへの備えとしては、財産管理をどのようにしておくか、という備えが大切です。有効な方法の一つとして、任意後見契約があります。任意後見契約は、ご本人がお元気なうちに、あらかじめ任意後見人や委任内容を決定しておき、本人の判断能力が不十分になった際に任意後見人が本人の代わりに財産管理などをしてもらう制度です。ご自分の判断能力が不十分になった場合に備えて、金融機関の預貯金の入出金、施設の入所契約、不動産の売却、賃貸物件の管理及び立替などの財産の管理を、ご自分が信頼できるご家族等にお願いしておくことができます。この任意後見契約は、公正証書遺言の作成と一緒に作成されることが多いのですが、公正証書で作成する必要があります。これにより、法律上の権限が付与されることになり、もしものときに備えることができます。

このような有効な方法があるということを頭の片隅に入れていただいて、老後を元気に安心して生活できるように、また、長生きができるように、お元気なうちに具体的に検討されてみてはいかがでしょうか。

ワンストップ相続のルーツ

代表 伊積 研二

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