相続ニュース

このコーナーでは、相続に関する情報をお届けします(毎月1日更新)

7月号「相続をしたくない場合について」

2024.07.01ニュース

相続放棄とは、相続人が被相続人の権利や義務を一切受け継がないとする選択をいいます。相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から原則として3か月の熟慮期間内に、単純承認もしくは限定承認または相続放棄をしなければなりません(民法915条1項)。限定承認または相続放棄をしようとする場合は、その旨を家庭裁判所に申述しなければなりません(民法922条、924条、938条)。なお、単純承認の場合は、この手続は必要ありません。

なお、相続人全員が家庭裁判所に相続放棄を申述した場合は、結果として相続する者がいなくなった場合に当たるため、利害関係人の申立てにより、家庭裁判所が相続財産の清算人を選任します(民法952条1項)。

被相続人の財産は最終的には相続財産清算人により売却・現金化され、国庫に納められることになりますが、この手続にかかる時間は1年から2年程度かかると考える必要があるようです。

では、そもそも相続放棄を選択する理由はどのようなものが考えられるのでしょうか。

相続放棄の理由としてよくあるものは、被相続人の積極財産より消極財産(債務)が上回る場合です。

この場合には、単純承認をしてしまうと、相続人は被相続人の消極財産を自己の財産で弁済しなければなりません。そのようなことはできない、またはしたくないということであれば、限定承認(相続人が被相続人の積極財産の範囲内でのみ消極財産を弁済する相続方法)または相続放棄をしなければなりません。

また、生前、被相続人と仲が良くなかった他の相続人と関わりたくない(疎遠や絶縁状態で遺産分割協議に参加したくない)という方もいらっしゃるのではないでしょうか。また、相続自体にあまり良い印象がなく、そもそも関わりたくないという理由もあると思います。

遺言があればそれに従うが、遺言書がなく、遺産分割協議で揉めそうで関わりたくないので相続人の立場を辞退したい、と思われる方もいらっしゃるかもしれません。

相続の際には、これまでの被相続人に対する様々なおもいの他にも、これまでの家族の在り方について我慢してきた思い出などが出てきてしまうことが多いようです。

残されたご家族がなるべくいわゆる「争族」にならないように、財産及び債務を確認し、お元気なうちに遺言を作成されておかれるのがよろしいかと思います。

ワンストップ相続のルーツ

代表 伊積 研二

6月号「2025年問題と『介護』の備え」

2024.06.03ニュース

日本の人口は2010年を境に減少を続け、2025年には団塊の世代が後期高齢者(75歳)となります。内閣府が公表している令和4年度高齢者会白書によると、2025年には75歳以上の後期高齢者の人口が2180万人、65~74歳の前期高齢者人口が1497万人に達すると予測されています。日本の総人口がおよそ1億2393万人(総務省人口統計2024年5月1日現在)ですので、国民の約3人に1人が65歳以上、約5人に1人が75歳以上となります。

「2025年問題」とは、このように日本の人口の年齢別比率が劇的に変化して「超高齢化社会」となり、雇用、医療、福祉など、さまざまな分野に影響を与えることが問題になることをいいます。他方、少子化は止まらず、総務省が公表した資料によると、2023年4月1日時点での日本の総人口に占める子ども(15歳未満)の割合は、11.5%と、49年連続で低下しています。

社会保障の担い手である労働人口が大幅に減少するため、介護を必要としているのに受けられない「介護難民」や、1人当たりの社会保障負担がますます重くなることが予測され、大きな課題となっています。

そうすると、自分のことは出来る限り自分で出来るように国民一人一人が今から備えておくことが必要です。社会保障制度を維持するためにも、一人一人の健康寿命を延伸することも大切です。

加えて、「人生の3大支出」といわれる住宅資金、教育資金、老後資金のうちの一つ、老後資金の準備が必要です。「介護」の備えの一つに保険で備えておくという選択肢もあります。

最後に、「介護」の先の備えとして、遺言書を作成されることもおすすめいたします

「自分はどう生きるのか」というライフプランの視点から現状を把握し、老後にどれくらいお金が必要なのか、家族やお世話になった人に何を残したいと思うのかなど、身の回りの整理も含めて検討されることが大切です。

思い立ったが吉日です。出来る限りお元気なうちに、じっくりと時間をかけて検討できるよう、早めの対策をお勧めいたします

何から手をつければ良いのかお悩みの方は、お気軽にご相談いただきたいと思います。介護の備えも含めてご一緒に考えてみませんか。ご相談は無料です。

ワンストップ相続のルーツ

代表 伊積 研二

5月号「空き家と相続」

2024.05.01ニュース

昨年12月に施行された「空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律」(以下、改正法)をご存知でしょうか。ニュース等でご存知の方もいらっしゃると思いますが、改正法のポイントとしては次のとおりです。

まず、空き家の所有者の責任が強化されることになり、これまでの「適切な管理の努力義務」に加え、所有者に国や自治体の施策に協力する努力義務が追加されることになりました。

また、空き家の管理確保として、放置をすれば特定空家になるおそれのある空き家(管理不全空家)に対しては、管理指針に即した措置を市区町村長から指導・勧告がなされ、勧告を受けた管理不全空家についての固定資産税の住宅用地特例(6分の1に減額)が解除されます。

さらに、勧告等の円滑化のため、市区町村長が空き家の調査をすることができ、代執行の円滑化のため、命令等の事前手続を経るいとまがない場合に緊急時の代執行をすることができるとする、特定空家の除却が認められることになります。

加えて、空き家の活用拡大なども改正法に盛り込まれています。

空き家の所有者になるきっかけとしては、相続が最も多く54.6%です。相続人がすでに家を所有している場合が多く(2人以上世帯の持家率は68.1%(金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査「2人以上世帯調査」2022年」より))、また、相続人が遠方に居住している場合は空き家を日常的に管理することが難しく、いずれも空き家の管理が心配です。人が居住しなくなった家は、住宅の腐朽や破損が進行しやすく、周辺環境にも悪影響を及ぼしうるので更に管理面の負担が増えます。また、空き家の所有者は65歳以上と高齢の方が多くなっているのが現状で、体力的にも管理の心配事が増えます。

しかし、改正法では、前述のとおり、空き家の所有者の責任強化、空き家の管理確保の措置など、所有者の責任がより一層強化されています。日頃から適切な管理に努めたいところですが、適切な活用方法も含めて空き家について今後どのようにするのか(売買が可能であれば売買、更地にする、状態が良ければ第三者に賃貸する等)も含めて早めに検討されることをお勧めいたします。

また、相続に関しては、自宅を所有されている方や、先祖代々から受け継ぐ土地建物を所有されている方は、誰にどのように引き継がせたいのか、その思いは実現可能なのかなども含めて考えをまとめ、思いを形にされておくこと(遺言書の作成)や、生前に売買して現金化しておくなどのひと工夫で、残された相続人が困らないようにしておくことも大切なことだと思います。

空き家と相続は意外と身近な関係です。ご自分が亡き後の自宅を特定空家にしないためにも、相続人の置かれている現状を踏まえて、誰に相続させたいのかを考えるきっかけになれば幸いです。

4月号「『令和4年分における相続税の実績』について」

2024.04.01ニュース

令和4年分における被相続⼈数(死亡者数)は1,569,050 ⼈(前年対⽐109.0%)でした。

そのうち、相続税の申告書の提出に係る被相続⼈数は150,858 ⼈(対前年比112.4%)、相続税の申告者である相続人の数は329,444人(対前年比112.0%)でした。

その課税価格の総額は20 兆6,840 億円(対前年比111.3%)、申告税額の総額は2兆7,989 億円(対前年比114.6%)でした。

また、被相続人1人当たりの課税価格は13,711万円(対前年比99.1%)、申告税額は1,855万円(対前年比102.0%)、課税割合は9.6%(対前年比+0.3%)でした。

平成26年の課税割合は4.4%でしたが、平成27年1月1日に相続税法改正(基礎控除の改正等)があり、令和4年分は改正前と比べて約2倍に増加しました。

ご存知の方も多いと思いますが、相続税の申告及び納付期限は相続開始した日の翌日から10か月以内です。また、相続税の納付は原則的に現金一括での納付となります。

相続税は「大衆化時代」に入っています。前記のとおり、亡くなった人のうち約1割の人が相続税の課税割合ですので、他人ごとではなく、自分ごととして捉えて、早めの相続対策をされることをお勧め致します。

もちろん、相続税の節税対策、納税資金対策だけではなく、遺産分割対策が重要です。

それから、会社経営者の場合事業承継対策も合わせて行なう必要があります。内をどのようにすればよいか分からないという方は、先ず当センターにご相談ください。道が開けると思います。

ワンストップ相続のルーツ

代表 伊積 研二

3月号「相続の備えについて」

2024.03.01ニュース

本年は年初に石川県能登地方にてマグニチュード7.6最大震度7の地震が発生し、翌日には羽田空港の滑走路に着陸した日航機空機と海上保安庁の航空機が衝突・炎上し、尊い命が犠牲になりました。亡くなられた方々のご冥福をお祈りいたしますとともに、地震被害に遭われた方々に謹んでお見舞い申し上げます。一日も早い復興をお祈りいたします。

私どもも熊本地震の際、まさか自分たちが地震に遭うなんて、という気持ちと、余震が続きライフライン復帰を待つ間、いつまでこのような状態が続くのかと不安に思いながら生活をしていたことを思い出します。災害はある日突然起こります。災害時の備えの大切さを改めて感じます。

相続についても同様ではないでしょうか。いつか来るかもしれないそのとき、と思いつつも、まさか自分や家族が、と日頃あまり考えないようにしている部分があるかもしれません。

行動経済学によると、人間は3つの思考の偏りがあると言われています。一つ目は、面倒なことはやりたがらず、このままでいいと思ってしまうバイアス(偏りや先入観、偏見という意味)。二つ目は、プラスの感情値よりマイナスの感情値が大きくなるバイアス、三つ目は、将来の自分よりも今の自分にお金を使いたがるというバイアスです。これらから導かれる非合理な意思決定がなされがちです。

しかし、人の死がいつなのか、私たちはわかりません。出来れば考えたくないこと(面倒なこと、まさか自分がと思いたい・思いがちなこと)ですが、私たちが備えられることがあるとすれば、そのまさかのときを迎えた際に少しでも家族が安心してスムーズに日常生活が送れるように準備しておくことが大事なことではないでしょうか。

当たり前の日常を送ることのありがたさは、病気になったときにも感じます。大切なご家族が亡くなったり、自分や家族が病気になったりすると、精神的にも肉体的にもエネルギーが必要です。お金に関することも然りです。財産がスムーズに承継されれば残されたご家族の困りごとを軽減できることを、この仕事を通じて痛感しております。生前に財産の把握や遺言の作成をされていれば、残されたご家族が大変な思いをしないで済んだのに、と思われる事案が多く見受けられます。事業をされている方であれば尚更です。

相続対策・事業対策は、いずれもお元気なうちに早めに取り組まれた方が得策です。何から取り組めばよいのかお困りの方は、まずはお気軽にご相談ください。

ワンストップ相続のルーツ

代表 伊積 研二

ページの先頭へ↑

相続について、どんな悩みも「まずはお気軽にご相談」ください。
お電話でのお問い合わせ
電話受付時間:月~金曜 9:00~17:30
株式会社 日本相続センター

株式会社 日本相続センター 〒862-0962 熊本市田迎5-7-6